本文へスキップ

デザイン保護は 人と文化のバロメータ

TEL. 03-3591-3031

〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-4-1

Q&A

当社が製造・販売している製品について、意匠権侵害という警告書を受けたのですが、その意匠権に係る登録意匠の意匠公報には、図面の記載が無く、秘密意匠の意匠登録ということが判明しました。このような場合の対応について、教えていただけないでしょうか。
 秘密意匠登録制度は意匠登録出願人の請求により、設定の登録の日から3年以内の期間に限り意匠の内容を秘匿できる制度です。その秘密意匠の意匠登録(以下「秘密意匠登録」という)に係る意匠権者は、意匠権侵害者(侵害のおそれのある者を含む)に対し、侵害の停止を請求(差止請求権)することができますが、その秘密意匠登録が秘密にすることを請求した期間内である場合、意匠権者(又は専用実施権者)は意匠公報に掲載されるべき事項(意20条第3項)であって、特許庁長官の証明を受けたものを提示して警告した後でなければ差止請求を行うことができないとされています(意37条3項)
 これは、当該権利内容がその時点において第三者に公示されていないため、善意の第三者に対して不測の不利益を招きかねないことから設けられた規定です。同様の理由から過失の推定規定も適用されず(意40 条)、過失があったことの挙証責任は意匠権者が負うことになり、権利者自らが侵害者の過失を立証しなければなりません。
 したがって、ご質問の場合、秘密意匠の意匠権者は、特許庁長官の証明を受けたものを提示する義務が課せられていますので、その旨を伝えて秘密意匠登録の内容の開示を求めることができます。
 他方、先の警告書を受けて、自らの製品が意匠権侵害の可能性があり、その意匠権の内容を一刻も早く確認したい場合には、秘密意匠の内容の開示を特許庁長官に対して求めることができます。
 秘密意匠を規定する意匠法第14条4項には、特許庁長官が秘密意匠登録の内容を意匠権者以外の者に示さなければない場合が記されています。その同条同項4号には「利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面」を提出すれば、秘密意匠登録の内容を知ることができます。経済産業省令で定める書面とは、利害関係人であることを証明する書面(意施規第12条)ですが、この場合のその証明は警告書を添付することで満たされます。
 ご質問の趣旨とは異なりますが、秘密意匠制度は、自己の創作を社会に公開した代償として独占権が与えられるという産業財産権の保護の本来の趣旨からすれば秘密意匠登録を認めるのは疑問だという意見もあります。
 他方、秘密意匠制度を肯定する意見としては、創作した意匠の実施化の準備が整っていないような場合には、先願主義のもとでは、先の出願日を確保しておく必要がありますが、出願意匠が早期に意匠登録を受け、それが意匠公報に掲載されると、その出願をした者の将来の意匠開発傾向を競合他社に知られてしまうこと、また、その意匠を転用した意匠を容易に製作されてしまうというリスクが生じることが述べられています。このような趣旨ですと秘密意匠制度は実施の遅れの防衛手段というように理解されますが、秘密意匠制度はもっと戦略的な活用ができます。
そこで、秘密意匠制度をデザイン開発の戦略として活用することをお勧めします。ライバル企業からみれば、競合他社が、秘密意匠登録を数多く所有していることは、いわゆる、サブマリン特許であり、脅威となります。自社製品の実施に際しては、先行意匠権調査を行うことが通例ですが、競合他社が秘密意匠登録を有している場合、その意匠公報には、「意匠に係る物品」の記載もなく([図1]秘密意匠登録の意匠公報参照)、競合他社の戦略的ストック意匠が把握できず、その対策には困難が伴います。現制度において、その脅威を取り除くには、自社開発意匠を意匠登録出願し、外国出願に基づく早期審査請求等によって、早期に意匠登録を受ける他ありません。

秘密意匠公報は、(一社)日本デザイン保護協会で閲覧することができます。
 最後に、秘密意匠制度は、明治42 年法において創設された制度ですが、略百年が経過した平成18 年に、登録査定後、第1年分の登録料の納付と同時に、秘密にすることを請求できる機会が新たに設けられました。その改正の趣旨については、「近年、意匠権の早期権利化の要請から、要請から審査の迅速化が実現したことに伴い、出願のタイミングによっては、商品の販売前にもかかわらず、意匠公報の発行によって意匠が公開されることがあり、商品の広告・販売戦略等に支障が出る場合が生じている。このような場合、秘密意匠登録を利用することができるが、秘密意匠の請求は意匠登録出願と同時にしなければならないとされているため、審査が出願時の予想よりも早期に終了した結果秘密意匠の請求の必要性が生じたような事態に対処できなかった。こうしたことから、審査が終了した後にも秘密意匠の請求を可能とする必要がある」と説明されています(産業財産権法の解説 平成18年意匠法等の一部改正 特許庁総務部総務課 制度改正審議室編33頁及び34頁)。

バナースペース

(一社)日本デザイン保護協会

〒105-0001
東京都港区虎ノ門2-4-1
虎ノ門ピアザビル8階

TEL 03-3591-3031
FAX 03-3591-0738