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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

香港とマカオが中国に返還された後、これらの国での意匠の保護は、それぞれ独立しているとのことですが、具体的にどのような違いがあるのか教えてください。
1.一国両制について
 中華人民共和国(以下「中国」)に、英国から香港が1997 年に返還されて「中国香港特別行政区政府(以下「香港」)」となり、ポルトガルから澳門が1999年に返還されて「中国澳門特別行政区政府(以下「マカオ」)」となりました。一つの中国において、社会主義制度と資本主義制度という相対立する二つの「制度」が共存することになりましたが、この体制を中国の方は「一国両制」と称されています。その趣旨は、香港、マカオの法制度は中国の地域的な法律制度ではなく、各地域の法律制度は相互に平等というものです。
 中国は1949 年の建国から半世紀にわたって、共産党政権下での単一の法治国でしたが、香港、マカオが返還された後の2001年12月11日にWTO(世界貿易機関)加盟し、その後2002 年に、台湾もWTO に加盟したことによって、中国は、香港、マカオおよび台湾という四つの法域によって構成されことになり、社会主義法と資本主義法、また、英米法と大陸法が共存することになりました。各地域においては、各国の近代化の課程において、その法体系や社会意識、生活習慣が異なっています。
 このような状況下、中国は香港、マカオおよび台湾の自然人、法人をWTO加盟国の国民、法人として平等に扱わなければならなくなり、香港、マカオおよび台湾と同様に、WTOが定める「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs 協定)に基づき、知的財産権侵害訴訟における判決の相互承認、執行が不可欠となりました。現在、相互の判決の承認、その執行する条件について、各地域においてその具体的内容に相違があることは否めず、各地域間で承認、執行のための協定締結が進められています。

2.香港の意匠保護制度
 1997 年に返還されるまでは英国の意匠権が香港へ自動的に拡張されていましたが、返還後は、1997年6月27日に施行された登録意匠条例に基づき、香港知識産権署に対して意匠登録出願を行うことにより意匠の保護が受けられることになりました。英国で1997 年6月27日以前に登録された意匠登録に基づく意匠権は、英国意匠登録出願日から5年ごとに香港で更新登録することにより、引き続き保護を受けることができます。
 香港において保護される「意匠」とは、工業的方法により物品に適用される形状、輪郭、模様又は装飾の特徴であって、完成物品において視覚に訴え、かつ視覚で判断されるものをいいます(意匠登録条例2条1項)。登録要件の新規性は世界公知主義での判断ですが、意匠出願の実体審査はなされず、方式要件のみ審査され、要件を満たしている場合には登録されます。意匠は登録簿に登録されるとともに、香港知識産権ジャーナルに公告されます。
 意匠登録の最初の存続期間は、出願日から5年間です。それ以降は5年ごとに4回更新が可能で、最長の登録期間は、出願日から25 年です(同28条)。
 意匠権の効力は香港特別行政区内にのみに及び、中国国内には拡張されません。また、中国の意匠権は香港には拡張されません。意匠権者は、意匠権者の同意を得ないで、意匠が登録された物品又は当該意匠と実質的に異ならない意匠が適用された物品について、販売、貸渡し、取引又は営業目的で、香港において製造し又は輸入する行為、又は、香港に港おいて販売、貸渡し、又は販売若しくは貸渡しのための申出若しくは展示する行為を禁止することができます(同31条1項(a)。

3.マカオの意匠制度
意匠出願後に方式審査が行われ、方式に不備がなければ、12 月後に公開公報が発行されます。その後、30 月以内に実体審査請求をして、登録要件(国内公知等)が満たされれば、登録されて意匠公報が発行されます。一出願に10 意匠まで含めることができます。願書には、図面もしくは写真を添付し、意匠に係る物品を記載し、150字以内で意匠の説明を記載する必要があります。 意匠権の存続期間は、登録設定後、香港同様5 年ごと4 回の更新ができ、最長25年で満了します。

4.中国の意匠保護制度
中国は、米国同様、専利法(特許法)の枠内で意匠を保護しており、その存続期間は、出願日から10 年(中国専利法42条)であり、公告に日から発生(同40条)します。現在、2009 年10 月1日改正の中国専利法が施行されていますが、意匠についても大きな改正がなされています。その主な内容は、以下のとおりです。
1)新規性
「専利権を付与する意匠は、既存の設計に属さないものとする。また、いかなる部門または個人も同様の意匠について、出願日以前に国務院専利行政部門に出願しておらず、かつ、出願日以降に公開された専利文書において記載されていないこと(同23条1項)」と規定されています。この規定は、初歩審査の対象ですが、明らかに上記条項に違反する場合を除いて、実体審査はなされません。なお、判断主体は創作者ではなく、一般消費者です。また、「同様の意匠」とは、権利付与された意匠と同一の意匠のほか、実質的同一の意匠も含まれます。
 また、同23条4項には、「本法でいう既存の設計とは、出願日以前に国内外において公然知られた設計を指す」と規定され、いわゆる、世界公知主義が採用されました。
2)創作非容易性
 意匠の保護要件の引き上げは、改正の主目的であり、「専利権を付与する意匠は、既存の設計又は既存の設計的特徴の組み合わせと比べて明らかな違いがあることを要する(同23条2 項)」と、新たに創作非容易性に関する規定が設けられました。既存の設計的特徴の組み合わせと比べて明らかな違いがあることの判断手法は、日本の意匠去の創作非容易性に相当する内容であり、転用、寄せ集め、置換の意匠等が該当します。
3)類似意匠に関する多意匠一出願
 「1件の意匠出願は、一つの意匠に限定されなければならない。同一製品に二つ以上の類似する意匠がある場合、あるいは、同一の区分に属し、かつ、1セットとして販売され、若しくは使用される製品に係る2つ以上の意匠は、一つの出願として提出することができる(中国専利法31条2項)」との規定がなされ、多意匠一出願が可能となりました。その要件を満たすか否かは、初歩審査の対象であり、1件の出願に含むことができる類似する意匠は、最大10 意匠までとされています。
4)意匠に関する簡単な説明の義務化
意匠に関する「簡単な説明」は、従来は「必要に応じて意匠についての簡単な説明を記載しなければならない。」と規定され、記載は必須ではありませんでしたが、改正により、意匠の「簡単な説明」は必須の記載事項となりました(同27条)。また、この「簡単な説明」は、意匠専利権の解釈において「意匠専利権の保護範囲は、図面または写真が示す当該製品の意匠を基準とし、簡単な説明は、図面または写真が示す当該製品の意匠の解釈に用いられます(同59条)。

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