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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

自社のインターネットサイトに公表した意匠について、新規性喪失の例外の規定の適用(意匠法4条2項)を受けて、日本に意匠登録出願したところですが、その出願意匠の海外展開を社内で検討しています。前記の日本出願を基礎とする優先権を主張して出願し、海外、特にアジア諸国の意匠権を取得できますでしょうか。
 結論から言えば、出願が可能な国もありますが、一般的には難しいと言わざるを得ません。欧州共同体、米国においては、有効な意匠権の取得が可能ですが、中国をはじめとするアジア諸国においては、権利行使可能な意匠権は取得できません。無審査国も多々ありますので出願すれば意匠登録を受けることはできますが、新規性喪失の例外の規定の適用の対象意匠が障害となり、無効理由を包含する登録となり、意匠権の行使は無理と言わざるを得ません。

 具体的に説明しますと、中国は新規性喪失の例外の規定がありますが、それが適用されるのは、特許出願する発明(意匠)が、出願日の6月以内に、@中国政府が主催または承認した国際博覧会において最初に展示した場合、A定められた学術会議または技術会議において最初に発表した場合、と規定されていますので、出願前に、自社のインターネットサイトに公表した意匠は、新規性喪失の例外の規定の適用を受けることができないことになります。
 アジア諸国は、中国とほぼ同様の新規性喪失の例外の規定を有する国が多く、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、ベトナム等がこれに該当します。

 次に、韓国は、デザイン保護法に、日本とほぼ共通する新規性喪失の例外が規定されており、「デザイン登録を受けることができる権利を有した者のデザインが第5条第1項(新規性)各号または第2項(創作非容易性)に該当することになった場合、そのデザインはその日から6カ月以内にその者がデザイン登録出願したデザインに対して同条第1項および第2項を適用するにおいては同条第1項第1号又は第2号に該当しないものと看みな做す。」と規定されていますので、意匠登録を受けることが可能です。しかしながら、その基準日は優先権主張の優先日ではなく、韓国の出願日ですので、日本における公表日から6月以内に、韓国に出願することが必要です。

 また、インドは、グレースピリオドの規定がありますが、その公表について「当該意匠もしくは物品を展示し、または意匠を公開展示する者が、長官に対し所定の様式で事前通知をすること」が適用要件となっていますので、実質的に検討中の意匠のインド出願は困難です。

以上を鑑みますと、アジア諸国は、新規性喪失の例外の規定を有しない国、有していてもその適用条件が厳しい国が多く、アジア諸国への出願が予定される意匠は、公表前に日本国に意匠登録出願をすることが肝要です。

 アジア諸国については、先のとおりですが、先発明の思想から、公表から出願までに、一定の猶予期間、いわゆるグレースピリオドを認めている国があります。その代表的な国は米国です。米国特許法は、「米国における特許出願日より1年を超える前に、その発明が米国または外国にいて特許され、もしくは印刷刊行物に記載されていた場合、または米国において公然用いられ、もしくは販売されていた場合の一つに該当する場合を除いて、何人も特許を受けることができる。」(102条(b))と規定しています。

 先発明主義の国においては、グレースピリオドの規定がない場合、発明者が発明を一旦完成してしまえば、この発明者は発明日の立証ができる限り、いつでも特許を受けることができることになります。それでは公益が損なわれますので、米国特許法では、発明の公開後一定期間が経過した後に、特許を受ける権利を強制的に消滅させることとしたものです。

 アジア諸国において、グレースピリオドを認めている国は、フィリピンです。フィリピンのグレースピリオドは、優先権の優先日から起算されますので、日本で新規性喪失の例外の適用を受けた意匠の登録が可能です。

 意匠の保護に、コピライトアプローチの思想から、新規性の喪失に寛容なのが、欧州共同体意匠登録です。欧州共同体理事会規則によれば、「共同体意匠登録の新規性および独自性を評定する限りにおいて、先行意匠が以下の条件で開示された場合、その先行意匠は考慮されないとし、@意匠創作者、その権原承継人によって、または意匠創作者もしくはその権原承継人が提供した情報または行った行為の結果として、第三者に行われている場合、A出願日または優先権が主張されている場合は、優先日に先行する12 月の期間中に行われている場合。」と規定されており、優先権主張に加えて優先日から1年のグレースピリオドが認められています。

 以上、新規性喪失の例外の規定の適用を受けて日本に意匠登録出願した意匠について、海外での意匠権の取得の可能性について言及しましたが、その出願に際しては、海外の代理人に、公表の経偉、公表した具体的な意匠の形態等を具体的に示して、事例に沿ったアドバイスを受けることをお勧めいたします。 

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