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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

弊 社 は 米 国 企 業 と 合併 し ま し た。 そ の 米国 企 業 の 米 国 意 匠 特許出願[図1]を基礎出願として、日 本 お よ び BRICs 等 新 興 国 等 に優 先 権 主 張 を し て 出 願 し た い ので す が 可 能 で し ょ う か、 可 能 な場 合、 出 願 に 際 し て の 留 意 点 を教えていただけますか。
 [図1]の米国意匠特許出願の図面を見ますと、蓋を取り付けるネジ部が破線で表されている部分意匠であること、あと、立体の表面の形状を特定するための陰線が表されていますので、その意匠図面が出願国の図面の様式に合致しているか、また、その出願国の図面様式に変更したときに、優先権主張の効果が認められるかということが重要な課題となります。
 まず、日本への意匠登録出願について、我が国の意匠法には、部分意匠の意匠登録制度(意2条)がありますので、優先権の効果を主張して、部分意匠の意匠登録を受けることができます。また、意匠図面については、意匠の説明の欄に、米国意匠特許の図面に表されている陰線について、「斜視図、正面図、……および右側面図の表された細線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。」等の記載をする必要がありますが、我が国の意匠図面の要件は満たしています。
 韓国に出願する場合は、日本と同様、部分意匠の登録制度がありますので、願書に部分意匠の意匠登録を受けようとする旨を記載し、意匠登録を受けようとする部分を実線で表し、その余の部分を破線で表して意匠登録を受けることができます。
 欧州共同体意匠は、各意匠について、提出図面が7図までという制限がありますが、部分意匠の意匠登録および陰線を表した図面によって意匠登録を受けることができます。
 次に、BRICs等新興国諸国への 出願ですが、ブラジル、ロシア、インド、中国には、我が国の部分意匠登録のような制度はありませんので、破線を実線に描き直して、全体意匠として出願することになりますが、その場合、基礎出願である米国意匠特許の図面に破線を含めて、各国への出願意匠の形態の要旨が十分に開示されている必要があります。[図1]の意匠は、破線部分は、蓋を取り付けるネジ部であり、そこは意匠の要部ではありませんので、破線部分を実線に描きなおして全体意匠として出願しても優先権を得ることができます。一方、[図2]のような意匠の場合は、破線部は本体の外観であり、優先権が認められるかは不明です。
 さて、ブラジルの産業財産権法に、部分意匠の登録制度はありませんので、米国意匠特許に破線を含めて意匠が十分に開示されていれば、意匠全体を実線で描き直し、さらに陰線を削除した図面に直して出願すれば、優先権の効果を享受して意匠登録を受けることができます。南米諸国に含まれるコロンビア、チリ、ペルー等もブラジルと略同様です。
 次に、ロシアですが、ロシアには部分意匠の登録制度はありませんので、破線部分を実線に描き直して出願することになりますが、優先権が認められるかについて確実ではありませんので、ロシアの代理人は、[図1]のような場合、実線部分に特化した部品、[図2]の 場合は包装容器の蓋としての出願を推奨しています。
 ま た、インドの部分意匠登録については、部分意匠の意匠登録を受けようとする部分 が商取引の対象であることが課せられていますので部分意匠とする合理的な理由が見いだせません。インドの実務においても認めるべきかどうかについて様々な意見があるとのことです。
 現在、インド特許庁は、通常、添付図面の破線部分を実線に描き直させて、その変 更 した部分を矢印で示して、その部分(例えば「A」部と表示)が新規な部分であるとの説明(新規性の主張)を加えるように要請しています。
 なお、インドにおいても、破線、点線、陰線は許可されていません。
 近年は、BRICSとして、南アフリカ(SOUTH AFRICA)を含めることもありますが、 南アフリカの意匠出願は、インド同様、英国意匠制度の影響があり、意匠登録を受けようとするところについて「新規性の主張」が要求されます。また、破線で表した部分は、ディスクレームされることを明示して述べることができます。
 オーストラリアにも部分意匠の登録制度はなく、実務の運用では、物品の外観の全体形状について登録がなされます。実線を使用して、出願意匠の特徴部分を強調するとともに、破線でディスクレーム部分を表明することが許されています。こ の運用は、裁判所の意匠の無効判断、侵害判断にも踏襲されており有効な手段とされています。
 カナダにおいては、米国に見られるような意匠の特徴ある部分と特徴のない部分を実線と破線で示すことは可能です。破 線および陰線が使用されている米国図面について、陰線は、カナダにお いて図面作成の要件となってはいませんが、陰線 を施した米国図面での出願に問題はありません。
 最後に、アジア諸国についてですが、インドネシアは、部分意匠の登録に特別な規定はありませんが、インドネシア特許庁において、破線および陰線の使用は認められています。
 タイ特許庁の実務では、全ての図面は、滑らかかつシャープに実線で描かなければならないとされており、破線は実線に変え、陰線を削除して出願しなければなりません。
 フィリピンの意匠保護制度は、制度上、米国の影響があり共通点がありますので、意匠登録を受けようとする部分は、原則実線によって表すことになりますが、その周囲の態様は、米国出願に示されるように破線で表すことができます。
 以上、簡単ですが、米国意匠特許出願を基礎出願として、日本およびBRICs等新興国等に優先権主張をして出願する場合 の留意事項を説明いたしました。新興諸国の意匠法等産業政策に絡む法律は刻々と改正されますので、実際の出願に際して は、各国の信頼できる代理人に、具体的に意匠図面を提示して、具体的な指示を受けることが重要です。

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