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デザイン保護は 人と文化のバロメータ

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Q&A

関連意匠制度は、製品のデザイン開発における、いわゆるバリエーションのデザインを、基本デザインと同等の創作価値を有するものとし保護することを目的として、類似意匠登録制度に代えて導入された制度といわれていますが、バリエーションの意匠を意匠登録出願するときは、その一つを本意匠として、その他の意匠を関連意匠として出願すべきなのでしょうか。それとも、特に、本意匠を設定しないで、全て通常の意匠登録出願としても良いのでしょうか。
 確かに、関連意匠制度は、製品のデザイン開発において、一つのデザイン・コンセプトから創作されたバリエーションのデザイン(意匠群)を、基本デザインの意匠権の効力と同等の意匠権(関連意匠の意匠権)として保護することを目的として、平成10 年改正において、従来、意匠権の類似範囲の確認機能を果たしていた類似意匠登録制度を廃止して新たに導入した制度です。
 しかしながら、バリエーションの意匠であれば、その意匠群全てが一つの類似範囲に属するというものではありません。バリエーションの意匠であっても、成熟した意匠の分野においては、全て独立(通常)の意匠として、意匠権の設定がなされることもありますし、二以上の本意匠とその関連意匠にグループ分けされて、意匠権の類似範囲の設定がなされる場合もあります。
 したがって、成熟した物品の意匠の分野においては、バリエーションの意匠群について、本意匠の設定をせずに意匠登録出願を行い、審査官の実体審査が完了し、登録査定を前提とした協議の「指令書」を待って、本意匠を設定することも考慮すべきです。
 意匠の実体審査後のファーストアクションまでの期間(FA 期間)は、平均6カ月ですので、本意匠(例えば、基本意匠、実施意匠)の設定にも時間的猶予ができます。
 もちろん、関連意匠制度の趣旨に鑑みれば、バリエーションの意匠群中の基本意匠を本意匠とし、その他の意匠を関連意匠の意匠登録出願とすべきかもしれません。
 この場合、この意匠群がその企業における技術開発等を伴うデザイン(いわゆるフラッグシップデザイン)であり、その意匠の形態が斬新なものであり、その意匠の基本的構成態様に意匠的特徴がある場合には、全ての意匠群に関連意匠の登録がなされ、その企業(出願人)の意図した意匠権の広い効力範囲(類似範囲)が設定されます。
 しかしながら、このように出願人の意図するとおり、意匠権の類似範囲が設定されることは多くはありません。時には、その関連意匠の中のいくつかは、「願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので、意匠法第10 条第1項の規定に該当しません。」との拒絶理由通知書を受けることがあります。
 なお、それらの関連意匠については、本意匠の類似範囲の外に位置する独立の意匠として、【本意匠の表示】を削除する補正を行うことにより、独立(通常)の意匠登録を受けることができます。
 ところで、このような事態が生じる要因は意匠登録出願人の本意匠の設定にあると言えます。
 意匠登録出願に際して、意匠の開発者やその出願人に、本意匠について尋ねますと、バリエーションの意匠群が創作された場合にはその基本となる意匠、その実施化が決定している場合にはその実施意匠を本意匠とすることが多々ありますが、この場合、本意匠を中心としての類似範囲が一定の距離間に無いことがあります。
 意匠の形態は、基本的構成態様と具体的態様によりその要旨が認定されますが、例えば、その基本的構成態様が、A ないしD の具体的態様で構成されている場合、その関連意匠は、具体的態様A ないしD にそれぞれ類似する(a1)ないし(d1 )を関連意匠とするのが、全方位的な類似範囲を獲得するのに有効です。
 しかしながら、本意匠の設定の仕方によっては、その関連意匠が、具体的態様のa方向にのみ拡がる(a1 )、(a2 )、(a3 )である場合があります。この場合、具体的態様(a2 )、(a3 )の意匠が、本意匠の具体的態様A に類似しないで、関連意匠(a1 )に類似している場合があり、その場合には、「関連意匠にのみ類似する意匠(意10 条3項)」となり、意匠登録(関連意匠の意匠登録)を受けることができません(なお、願書の【本意匠の表示】を削除することにより、通常の意匠登録を受けることはできます)。
 また、先のようなフラッグシップデザインの場合はともかく、本意匠と関連意匠により設定される類似範囲が過大な場合、その類似範囲内に属する先の公知意匠が、当該意匠群の意匠登録出願の意匠に類似することになり、新規性の障害となることにもなりかねません。
 したがって、関連意匠の意匠登出願における本意匠の設定には熟慮が必要となります。時には、本意匠の類似範囲を予測する先行公知意匠の調査が必要となる場合もあります。
 このような関連意匠出願の難しさを考慮すると、バリエーションの意匠群を出願するときには、【本意匠の表示】をせずに、全て、通常の意匠登録出願とすることもあり得ます。自らの意匠登録出願の類似範囲の設定に消極的であるようにも捉えられますが、制度的にみれば、審査官の意匠の実体審査を経て、意匠登録を前提としてその類似範囲が設定されます。また、審査官により、相互に類似する意匠が、実体審査(先行意匠調査)を経て特定されますので効率的でもあります。
 ところで、審査官が、相互に類似する意匠と判断した場合、意匠法9条2項前段の規定により、他の意匠登録出願の意匠と類似するとして、意匠法9条4項に基づき、特許庁長官命の「指令書」を受けますが、一の出願を本意匠とし、他の出願は、その関連意匠にすることができます。このいわゆる協議指令書を受けた場合、関連意匠は本意匠と同等の効力(関連意匠の意匠権)を有するものとして保護されるものですので、一の出願を本意匠とし、他の出願はその関連意匠に補正して関連意匠の意匠登録を受けることができます。
 他の出願の中には、相互に類似しないと判断される意匠に係る意匠登録出願も生じますが、この場合、先の相互に類似する意匠の本意匠の設定の登録が優先しますので、残された意匠登録出願は、先の意匠登録出願の結果を待って対応することになりますので、登録査定を受ける時期が遅れるというデメリットがあります。
 いずれにしましても、バリエーションの意匠群の意匠登録出願に際しては、本意匠の設定に考慮すべき点があることをご理解ください。

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